高い音から低い音まで、ピアノの鍵盤すべてが分かるレベルが絶対音感です。ピアノの音だけでなく、他の楽器の音でも分かります。
精度の高い絶対音感では、チャイムの音や機械のモーター音のような、生活音でも、音名で答えることができます。
とてもめずらしい能力であるために、生まれつきの特別な才能だと信じられていた時代もありました。
「おけいこをしなくても、絶対音感が身につくことがあるのではないか?」という質問も、時々いただきますが、
それに対しては、「あります。ただしその確率は1%以下です」とお答えすることになります。
また、音を音名でとらえるので、曲の記憶が正確で、長く覚えておくことができます。
楽器がなくとも、音を正確にイメージできるので、作曲活動にも有利です。
あらゆる音楽的活動が簡単になるので、音楽家にとってあこがれの能力です。
音の高さは連続的なものですが、音名は連続していないからです。
音階では「ド」の隣は「ド#」ですが、生活音には「ド」と「ド#」の間の音がたくさんあります。
生活音のほとんどが、音名に対応しない高さの音なのです。
したがって「きこえる音が全部ドレミに〜」ということは、ありえません。
さらに、たまたま高さが音名ぴったりだとしても、人間の注意システムは、必要ない情報を無視することができます
。 絶対音感を持っても、音名を知ることが必要でない時には、絶対音感を使わずにいることができます
。 『絶対音感があると音名が全部分かってしまってうるさいから、絶対音感はない方が良い』というのは、
『文字が読めると世の中にあふれる文字が全部分かってしまってうるさいから、文字は読めない方が良い』という発想に似ています。
人は誰でも絶対音感を身につける可能性を持っていますが、成長とともに、その可能性を失います。
人はありあまる可能性を持って生まれながら、一定期間、それを使う環境にないと、「それは不要な能力である」と判断し、
その能力の発達を止めてしまいます。より必要な能力を伸ばすための仕組みです。
身につけられる時期が限られている能力は、絶対音感以外にもあります。
母国語の獲得も、その1つです。年齢が高くなってから学んだ言語は、母国語のようにはなりません。
これらは、聴覚神経の発達に関連すると考えられています。
絶対音感を身につけられるのは、6歳半までです。
その年齢を過ぎると、おけいこをしても、絶対音感に到達することはありません。
したがって、ご入会時の年齢によっては、絶対音感のおけいこを受けることができない場合がありますが、どうかご了解ください。